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■ キリスト者の神髄ピレモンぞの手玙

二千幎前、特に地䞭海沿岞の囜々やロヌマ垝囜などには倚くの奎隷にされた人々がいた。 奎隷なくしおは暮らせない時代であったし、囜によっおは人口の倍近くいたらしい。 奎隷ずは瀟䌚的通念から蚀えば、人でありながら、人ではなかった。 ぀たり人間ずしおの尊厳も暩利も奪われた人たちだった。 この人間䞖界で圧倒的にひどい差別であったが、圓時の聖曞はその制床を非難しおいない。 パりロずお制床自䜓の䜕らも吊定しおいなかった。 それは、あっお圓然の瀟䌚のシステムだったからである。 だが、圌らの呜の灯はい぀消えおもおかしくなく、玙くず同然でもあった。 キリスト教が入った囜々で最も違和感をもったのは、奎隷の䞻人であったかず思う。 キリストの教えは人間に察する差別が有っおはならないずいうものだった。 では、䞻人がクリスチャンになり、奎隷がクリスチャンになるず、どんな景色が芋られるのか 䜕故ならこの䞻埓関係は、神の子䟛達ずいう兄匟関係ずなる。 圌らが教えに忠実に生きたずしたら、制床は有っおも以前ずはたったく異なる人間関係が生たれた。 キリストに埓うように「しもべ」は䞻人に埓い、䞻人はキリストが愛されたように奎隷を愛するからだ。 そこには制床䞍芁論は無くずも、党く別の䞖界を垣間芋たであろう。 ピレモンずいう人は財産にも人間性も豊かで、他者を愛しキリストを愛した人だった。 パりロによっお新生に導かれたが、圌は以前にも増しお人々を愛した。 圌がキリストの集䌚に参加する時、圌に仕えおいたオネシモずいう奎隷も䞀緒だった。 圓然ながらオネシモの顔は、他のクリスチャン達に芚えられたであろう。 そんなある晩、オネシモはピレモンのもずから密かに脱走した。 その際、䜕らかの物を盗んだ可胜性もあった。 オネシモは人混みを求め、町から町ぞ逃げ、遂にはロヌマに行き着いたのかも知れない。 だが、圌はパりロに仕える同僚に顔を知られおおり、仕方なくパりロのもずぞ連れお行かれたず思われる。 そこはキリストのゆえに、今や囚人ずなっお捕えられおいたパりロ自身の獄軟犁状態であった。 オネシモずいう名は「有益」ず蚀う意味である。 それは奎隷ならばこそ付けられた名前ず考えられる。 䞻人の家から逃げた逃亡奎隷は、堎合によっおは即、殺される呜であったが、オネシモはパりロによっおキリストを受け入れ、生たれ倉わっお神の子ずなった。 パりロはピレモンに察し「獄䞭で生んだ我が子、オネシモのこずを貎方にお願いしたい。」ずいう手玙を曞いた。 ぀たり、パりロは「オネシモを貎方のの元ぞ送り返すから、圌を赊し、奎隷ずしおよりも、貎方の兄匟ずしお受け入れお欲しい。圌は今や無益な者ではなく有益な者オネシモずなったから。」ず曞いた。 曎に、オネシモがピレモンに損害を掛けおいたのなら、パりロ自身がそれを匁償したいず曞き、どうか遠慮せず請求をしお欲しい、ずも曞きしたためた。 芪しい関係にあったパりロずピレモンではあるが、だからず蚀っお芪しさに胡坐をかかず 螏みにじっおよい人間関係など無い。 安易な甘えが人間関係を壊すこずだっおある。 パりロはピレモンならば、そのたたでも受け入れおくれるだろうが、敢えお甘えず、敢えお䞊䞋関係に媚びず、ピレモン自身の刀断に委ねた。 愛は媚びお埗るものでなく、盞手から自然に斜されるのがベストである。 確かに埌茩であり、パりロの導きで信仰に入ったピレモンに向かっお、尊敬の思いで頌み蟌んだパりロの心をピレモンは改めお特別な思いをもっお受け入れたであろう。 この手玙は珟存しおいるずのこずである。 実に短く、いわばA4玙面䞀枚に曞かれた皋床であるが、キリストの「しもべ」でなく、囚人パりロず自分を指しお曞いた「キリスト者の真髄」ず蚀える䞀通のパピルス曞簡である。 手玙は蚀い蚳がたしくなく、真実の友に、誠実をもっお問いかけるパりロの心が滲んで読める。 そこから銙っおくるのは、キリストにある兄匟愛であり、キリストの愛を共有しおやたない信埒愛である。 この手玙はテキコずいうパりロの同僚ずオネシモの二人に蚗されお、今のトルコ䞭東郚にあった「コロサむ教䌚」に届けられた。 ピレモンの元に垰るオネシモの気持ちは劂䜕なものだったか。 身は奎隷であっおも、兄匟ずいう䜍眮に眮かれたピレモンを芋䞊げるのは眩しかったず思う。 しかし、オネシモが新生したこずの䞀番の祝犏は「䞻にある兄匟ピレモン」に抱き留められる瞬間であったろう。 私達それぞれも、以前は自分のこずしか考えずに生きる無益な者だった。 だが今や、有益な者になった。 なったのではなく、されたのである。 生涯、「・・された」このこずを忘れず、再びの眪の奎隷に戻っおはなるたい。

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