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■ 彼は神を信じた / ローマ4:18~5:1 (2013-10-06)

毎週メッセイジ前に、或る本から短い文章を会衆に聞いてもらっている。 「田舎牧師」を自称する宮島信也先生の書かれた日記風の物である。 表現はどうかと思うが、同業者?であるから痛みとか楽しみとか、腹立たしさとか、様々な思いと感情を共有出来ている。 同感と違和感と親しみを与えられる愛すべき著者である。

その一部から・・・ 或る晩、宮島牧師に見知らぬ人から一本の電話が入った。 先方はこう言った。今危篤になっている父が言うには「葬式は是非共キリスト教式で」とのこと。 親類は猛反対したが本人は聞く耳持たず、家族は仕方なく式をお願いしたいとのことだった。聞いてみると、35年前に宮崎牧師という人が、その人の家の隣に住み込んで、農村伝道をしていたとか・・・。何年間か農業の傍ら伝道生活をしていた時に、感じるものがあったのだろう。

電話を切って直ぐ、宮島牧師は山超え里超えて、その家に辿り着いた。 既に息を引取ったご本人であったが、娘さんがどこからか十字架のペンダントを持って来て遺体に添えた。棺に花が満たされ、宮島師は庭先にびっしり詰った地元の会葬者達に向かって聖書の話をした。 山道を飛ばして帰る田舎牧師は思わず天国の宮崎牧師に向かって叫んでいた。 「宮崎先生、喜んでください!」

これは同業者であればこそ、心揺さぶられた場面であった。

先日の鑑定番組でヨハンネス・グーテンベルグの活版印刷した聖書の1頁に値段の問合せがあった.。 もし本物なら1頁でも1千万円とのこと、仮に一冊であったら20億とのことだった。 人間世界、一体何に価値を求めるのだろう。 但し値段がつかないものこそ本当の価値があるのかも知れない。

私が30間愛用している大判の聖書は既に紙が劣化しており直ぐにでも破け散りそうだ。 しかし、この聖書には沢山の思い出がある。 父が亡くなり、残された母のために買った聖書だった。 毎週の礼拝に母を連れて行った.が、賛美歌を聞いては涙を流していた。 母はやがて実家に戻ったが、大き過ぎた聖書だけ帰って来た。 それから、その聖書で毎日のデボーションを続ける中で、沢山の導きの言葉が与えられた。 一年、二年、三年、そして神学校へと導かれた主のみことばも、この聖書だった。 今でも使い易い汚れた聖書である。 でも、仮に私が死んだ後、棺の中などに入れて欲しくはない。 聖書は燃えて灰になるだけで天国には行けないし、天国で目を通す必要もないだろう。

アブラムが神の約束に対し危惧していた時に、主のみ言葉が降りた。 跡取りの問題はいつもアブラムを悩ませ続けていた。 妻のサラにせよ妊娠できる年齢はとうに過ぎ、アブラムとて立派にご老体であった。 主の声は「アブラムよ、懸念するな!危惧するな!」だった。 主はアブラムを外へ連れ出し、いわれた。 「空を見上げよ、星を数えることが出来るなら数えてみよ。あなたの子孫はこの星の数ほどになる。」 そして聖書は直ぐに言う。「彼は神を信じた」。 神の約束を信じたというより、神ご自身を信じたのである。 だからこそ、約束を信じられたのである。

私達はその部分で信じる対象が前後していないだろうか。 神を信じるから、みことばを信じるのである。 確かに殆どの人は、聖書のことばに出会って神を信じるのである。 だが信じるべきは先ず、神ご自身である。

この順序は人間であれ、同様だと思う。 例えば、誰かがこう言ったとしよう。 「あなたの言うことが信じられるから、あなたを信用する」と言われても妙ではないか。

冒頭の亡くなったお父さんは宮崎牧師が信じた方をひっそりと信じていたのだと思う。 そこになにかしらの大きな力と価値を見出したのかも知れない。 信仰告白には至らなかったが、山村の保守的な環境のど真ん中で、「葬儀は是非共キリスト教で」と言い張ったのが彼精一杯の信仰だったのかも知れない。 「彼は聖書の神を信じた」のか、「天国という場所の主人は聖書の神」だと思ったのか。

35年前の私は教会にも礼拝にも関心も興味も120%無かった。 それにクリスチャンという連中など大嫌いな部類でしかなかった。 ただ、突然ある日の礼拝時間、勝手に目を通していた箇所で、アブラハムの信仰から強烈なインパクトを受け思わず私も「アブラハムが信じた神を信じたい、もしいるならば」と思った。 聖書の右も左も分からない、キリストも十字架も分からない私であったが、何よりも「アブラハムがイサクを捧げるまでして従った神」こそ、きっと本等の神だと思った。 説教にもまったく関心を示さない男が突然、「神さまを信じました。」と言い出したとき、かの牧師は信用しなかった。 でも、神を信じるのなら、それ位の出来事は信じて欲しい。 神には何だって、お出来になれるのだから。

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